コンビニ大手のローソンは、AI(人工知能)を活用して値引きを行うシステムを2024年度中に全国展開する方針だ。竹増貞信社長がインタビューで明らかにした。消費期限の短いおにぎりやパンなどが対象。食品ロスや売れ残りを防ぎ、加盟店の利益増にもつなげるねらいだ。

 システム名は「AIカスタマイズドオーダー(通称AI.CO〈アイコ〉)」。在庫や過去の販売状況、天候などをもとに売れ残り商品の値引き額を算出する。店員が承認すると商品に貼る値引きシールが印刷される。アイコには商品が余らないよう発注の精度を高める機能もある。

 いつでもどこでも買える利便性を売りにするコンビニは定価販売が基本。かつては販売機会を失わないよう多めに発注し、余れば値引きせず店頭から撤去することが多かった。しかし季節商品の大量廃棄などが問題になり、値引き販売が広がった。ただ、どの商品をどれだけ値引きするかは、店の担当者の経験や勘に頼っているのが現状だ。

 ローソンは21年以降、東北や関東地方でAI値引きの実験を進めてきた。値引き対象商品の粗利益は約5%増えたといい、全国に広げる。竹増社長は「電気代や従業員の賃金が上がっている。値引きをすすめて店の利益を最大化したい」と話す。(朝日新聞)