--令和6年春から、店舗のほぼ全商品を宅配で注文できるようになる

「新型コロナウイルス禍でもウーバーイーツや出前館などと連携して宅配をしてきたが、店舗の在庫をそのまま確認できるシステムになっておらず、販売促進をかけられなかった。それでも1日数万円を売り上げる店もあり、需要は大きい。来春以降は店頭在庫とつながって新しい便利を提供できる」

--目指すコンビニ像は

「2030(令和12)年ごろにはリアルの世界はコンビニでいい、そこに電子商取引(EC)があれば消費生活はできるよねという状態になる。国内1万4500店舗超をECセンターとして活用し、最短10分でオーダーから宅配までできるようにする。私たちのセンターはアマゾンと比べ小さいが、その分そこら中にある。クイッケスト(最も早い)ECを目指す」

--来年の経済見通しは

「令和6年春闘で賃上げがどれぐらい行われるかがカギを握る。コストプッシュ型のインフレが足かけ2年ほど続き、今年はそこそこの賃上げが行われたが、実質賃金からみればまだまだの水準。賃金先行型でモノの値段が付いてくる〝良いインフレ〟に持っていければ景気の下支えになる」

--ローソンの賃上げは

「私たちもコストプッシュ型ではあるが店頭価格を上げている。まだ(労使交渉が)始まっていないが、しっかり賃上げを行う。労働組合と話をして、納得のいくところで決議したい」

--環境対応にも力を入れる

「『店舗理想形』改装を掲げ太陽光パネルや省エネ器具を導入してきた。小売店の冷蔵庫は昔から開けっ放しだが、閉めれば二酸化炭素(CO2)排出量を2割削減できる。ひと手間で排出削減がどれぐらい進むかなど、お客さまとコミュニケーションを取りながら扉を設置する実証実験を進めている」(田辺裕晶)

◆たけます・さだのぶ

大阪大経卒。平成5年、三菱商事入社。14(2002)年、米インディアナパッカーズ社出向、三菱商事広報部、社長業務秘書などを経て、26年ローソン副社長。28年から現職。大阪府出身。54歳。(産経新聞)