セブン-イレブン、検品に電子タグ導入 作業時間を1日100分短縮
セブン-イレブン・ジャパンは3月27日、一部店舗での検品作業に電子タグを導入したと明らかにした。作業の効率化とスタッフの負担軽減が主な狙い。従来はスタッフが全商品のバーコードをスキャンしていたが、電子タグ導入によってケース単位での読み取りが可能となり、1日当たりの作業時間を170分から70分に短縮できるという。
検品作業への電子タグの導入はコンビニ業界初。電子タグのRFID(無線自動識別)機能によって、無線通信で情報を送受信することで手作業の手間を解消する。
RFIDは(1)複数の電子タグの一括読み取りが可能な点、(2)離れた場所からでも読み取りが可能な点、(3)遮蔽(しゃへい)物があっても読み取れる点――などが特徴の技術。セルフレジなどへの導入も期待されている。
●北海道から“スモールスタート”
セブン-イレブン・ジャパンは、同日から北海道釧路市内の5店舗で電子タグを活用した検品をスタートした。今後は同市内の全店舗に拡大する方針だ。時期は未定だが、取り組みの成果を踏まえて道内の全店舗(988店)に広げ、ゆくゆくは国内の全店舗(2万260店)に取り入れる計画もある。
導入する電子タグは1店舗につき約80枚。弁当類やおにぎりなど、鮮度管理が必要で、毎日店舗に届く“日配食品”の検品で使用する。
電子タグをケースに取り付ける作業は配送センターで行う。出荷後は配送センターのスタッフが電子タグ経由でケース内の情報を取得し、商品不足など万が一の事態に備える。
親会社のセブン&アイ・ホールディングスは「電子タグの導入はスモールスタートで進めたい。スタッフの数や物流体制の規模が適切と判断したため、まずは北海道で始めることを決めた」(広報室、以下同)と説明する。
「昨年~今年頭にかけて、電子タグを活用した雑貨などの検品を福島県内の店舗でテストし、一定の結果が出た。今回の取り組みでは日配食品での実用性を確かめ、成果を踏まえて他ジャンルの商品にも広げたい」という。
同社は「作業効率化を目的とした施策だが、結果的にスタッフの“働き方改革”にもつながればうれしい」と話している。
●経産省も普及支援
経済産業省は昨春、2025年までにセブン-イレブン、ローソン、ファミリーマートなど大手コンビニチェーン5社の全商品に電子タグを導入し、商品管理の効率化を目指す「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」を発表。小売業界の発展に向け、電子タグの導入を促している。(ITmedia ビジネスオンライン)