コンビニエンスストアが店内で飲食できる「イートイン」を設置した店舗を拡大している。

いれたてのコーヒーや、店内で販売する弁当、デザートをイートインで飲食しながらくつろいでもらうことで、新たな需要を開拓するのが狙いだ。近隣のコーヒーショップやファストフード店などが顧客を奪われるケースも出ている。

ファミリーマートは、平成29年度末までに約6千店舗でイートインを設置する方針だ。

都心では商談に利用するビジネスマンや、コーヒーとともに弁当やドーナツを食べる女性の利用が増えているという。郊外ではコミュニティースペースとしても活用され、今春には吉本興業と組んで寄席や漫才を行う取り組みも始めた。

ファミマ広報は、イートインの設置により「集客率が上がり、飲食需要を掘り起こせている」と効果を強調する。セブン-イレブン・ジャパンも「アプローチで きなかった高齢者や女性の利用が増えている」(広報)としており、今後、スペースが広い店舗を中心に積極的に設置していくという。ローソンも同様のスタン スだ。

全店舗にイートインと調理場を設置しているミニストップは、新業態の店舗展開を本格化させている。新店舗の「シスカ」は食材にこだわった品ぞろえが豊富で、夜は「ちょい飲み」もできる。都心の7店舗からさらに増やす。

コンビニの攻勢のあおりを受けているのが外食業界だ。都内にあるドトールコーヒーの店長は「100円コーヒーやイートインの展開で顧客を奪われ、売り上げが減っている店舗もある」とし、イートインのあるコンビニの近隣店舗を中心に影響を受けていることを明かす。

コンビニのイートインでの飲食については、平成31年10月に消費税率が10%に引き上げられても、持ち帰りできる飲食物であれば8%の軽減税率が適用されることから、利用者がさらに増えるとの見方もある。

コンビニ各社のイートイン戦略が消費者行動に地殻変動をもたらす可能性がある。