海外より国内にリソース投入、成長余地大=ユニー・ファミマ社長

ユニー・ファミリーマートホールディングスの高柳浩二社長は9日、ロイターとのインタビューで、2020年度までの中期計画期間中は、海外よりも国内にリソースを投入する方針を示した。

多くの企業が海外展開に成長を求める中、国内事業は「やり尽くしていない。成長余地が大きい」と話す。

付加価値を付けることで少子高齢化も成長の制約にはならないほか、人手不足もイノベーションを促すことにつながるとみている。

高柳社長は「国内の方が結果が出しやすいし、やるべきことがはっきりしている。中計の4年間は、資金や人のリソースをできるだけ国内に使う」と述べた。

国内事業をより強化するために、高柳社長は、金融周辺の事業に強い関心を示した。「金融を使ったファンクションをあまりやっていない。ここはもっといろいろとやれる。今、伊藤忠商事 <8001.T>ともタスクフォースを作って検討している」という。銀行業務に直接乗り出さずとも、電子マネーなどの金融周辺事業はグループで活用できるファンクションになるとし、検討を進めている。

国内は少子高齢化が進むほか、人手不足も顕著になっている。高柳社長は「少子高齢化で1人の食べる量は減るが、少し良い物を買ったりする。良い物を作って、付加価値のあるものを提供すれば、絶対に買ってもらえる。確信に近い。少子高齢化に食べ物は強く、全然怖くない」と話す。

さらに、人手不足についても「これはオイルショックのようなもの。石油がなくなると大変と大騒ぎになったが、今、全然困っていない。今はある種の人手不足ショックだが、人手不足でイノベートするチャンス。結果的にはプラスに変わると思っている」とし、自動レジなどの技術革新が進むとの見通しを示した。

<CITICやCPと何ができるか研究中>

伊藤忠とタイのチャロン・ポカパン(CP)グループは折半で共同出資会社を設立し、中国の国有複合企業である中国中信集団(CITIC)に1兆2000億円を出資している。

高柳社長は「CITICやCPと何ができるかという話はしている。いろいろと克服しなければいけない問題があるが、何ができるか、お互い興味は持っている」と述べた。

すでに、ファミリーマートは中国で頂新グループと組んでコンビニを展開しているほか、CPはタイでセブンイレブンを運営している。高柳社長は「コンビニ以外にも他の業態はたくさんある」と述べ、伊藤忠も交えた研究を行っている。

ファミリーマートは、現在、台湾、中国、タイ、ベトナム、インドネシア、フィリピン、マレーシアで展開している。このうち、台湾と中国は黒字化しているが「他は苦戦している。コンビニのノウハウはローカルコンテンツの集まり。立て直せるなら立て直したいが、どんどんリソースを入れてやっていくことにはならない」という。そのうえで「やり切れるかどうか、もう一度見直ししている。当然、整理するところは出てくる」とし、撤退も視野に入れて見直していることを明らかにした。

高柳社長は、1975年に伊藤忠商事に入社。生活資材・化学品カンパニーや食料カンパニーのプレジデントを経て、3月1日にユニー・ファミマの社長執行役員に就任した。5月25日の株主総会を経て代表取締役社長となる。ユニー・ファミマは2016年9月に誕生した。(ロイター)