接客問題視「時短の意趣返しではない」 セブンFC訴訟の大阪地裁判決

コンビニ最大手「セブン-イレブン・ジャパン」の本部が、24時間営業を取りやめた大阪府東大阪市の加盟店元オーナーとのフランチャイズ(FC)契約を解除したことの有効性を争った訴訟の23日の判決で、横田昌紀裁判長は元オーナー側による乱暴な接客対応が「フレンドリーサービスを逸脱した」と認定。時短営業への転換が契約解除の理由ではないと判断し、元オーナー側に店舗の引き渡しと賠償を命じた。

店舗を明け渡さなかったことによる損害額は1日約11万円と認定。占有日数から算定すると、総額約1億円となる。元オーナー側は控訴する方針。

被告は「東大阪南上小阪店」元オーナーの松本実敏(みとし)さん(60)。平成24年に本部とFC契約を締結したが31年2月、人手不足を理由に24時間営業を取りやめた。本部側は令和元年12月に契約を解除した。

松本さん側は、契約解除は24時間営業を打ち切ったことへの意趣返しで無効だと主張。判決理由で横田裁判長は、松本さんが客に乱暴な言動や侮蔑的な話し方を繰り返したことで客から苦情が相次ぎ、セブン―イレブンのブランドイメージが低下したと指摘。接客対応を改めないばかりか、ツイッターで経営陣を人格攻撃するなど本部側との信頼関係を破壊しており、契約解除は妥当と判断した。

松本さんが本部側に取引再開を求めた訴訟の判決も同時に言い渡され、横田裁判長は訴えを棄却した。

判決後の大阪市内での記者会見で松本さんは「声を上げてコンビニ業界は少し変わった。今後も闘う」と強調。弁護団の1人は「オーナーの過酷な労働条件に目を向けていない」と判決内容を批判した。

セブン本部は「主張が全面的に認められ、妥当な内容だ」とコメントした。

一連の問題を機にコンビニ業界の「ブラック労働」が注目を浴び、24時間営業の見直しが進んだ。(産経新聞)