セブン経営陣、板挟みに=「加盟店」か「株主」か-総会
セブン&アイ・ホールディングスは23日、東京都内の本社で定時株主総会を開いた。
井阪隆一社長は、傘下のコンビニエンスストア最大手セブン-イレブン・ジャパンで起きた24時間営業をめぐる加盟店とのトラブルについて、「大変申し訳ない。反省している」と陳謝し、加盟店への支援を強化する考えを示した。ただ、店への配慮よりも高収益の維持や株価上昇に期待する株主は多く、経営陣は板挟み状態の中で難しいかじ取りを強いられている。
セブン-イレブンをめぐっては2月、大阪府の加盟店が無許可で24時間営業を中止した問題をきっかけに、店のオーナーの苦境ぶりが表面化。企業イメージやビジネスモデルを揺るがす事態に発展し、株価は約3割も下落している。
井阪氏は株主に対し「人手不足や売上高の伸びの鈍化などでオーナーの将来不安が増していることも問題の発端だ」と説明し、短期で解決するのは難しいと理解を求めた。その上で「新しい考え方、価値観に変えていくチャンスだ。最適な解を見つけたい」と強調し、深夜に店を閉める実証実験に加え、省力化投資や新規出店の抑制などを通じて加盟店の不満を抑える方針を示した。
ただ、店の設備投資には多額の費用が必要。時短営業に関しても、多くの店舗に認めれば本部の収益減を招く恐れがある。さらに、オーナーの要求に押されてロイヤルティー(経営指導料)の減額にまで踏み込む事態になれば、グループを支える高い収益力は維持できなくなる。
株価下落の背景には、こうした収益面の先行き不安があり、総会では株主から「どうしても株価には上昇してもらいたい」と悲痛な声が上がった。
取締役選任など5議案はいずれも賛成多数で可決された。所要時間は1時間45分(前年は1時間55分)。出席した株主は596人(同619人)だった。(時事通信社)