日本郵便とファミリーマートは29日、埼玉県川越市の郵便局内に無人決済のコンビニエンスストアを出店した。

 郵便局内に無人決済のコンビニが出店するのは初めて。人件費を抑えたコンビニを併設することで郵便局の利便性を向上させる。日本郵便は全国の郵便局の生活インフラとしての活用と収益化の方策を模索しており、その一環。

両社は今回の店舗の売り上げなどを参考に全国の郵便局にも出店を広げることを検討する。

同日の開店記念セレモニーで、日本郵便の衣川和秀社長は「ポストコロナを踏まえて非接触、非対面、快適でスピーディーな買い物を実現する。郵便局を通じて地域のお客さまの豊かな生活に貢献したい」と語った。

オープンしたのは「ファミリーマート川越西郵便局/S店」。郵便局のロビーだった空間を間借りし、食品や飲み物、日用品などを販売する。天井にある20台のカメラや商品棚に設置された重さを測るセンサーが商品を自動で認識。客はセルフレジで現金やクレジットカードなどで決済する。

商品の補充や品質管理などは近隣の店舗が担い、常在する店員は1人。人件費が安く、一般的な店舗に比べて運営コストは安く済む。営業時間は窓口での郵便物の受付時間に準拠し、平日では午前9~午後9時。土日も営業する。

日本郵便は全国に2万4千の郵便局を擁するが、少子高齢化などで基軸である郵便事業は先細る そのため同社は今回の取り組みのほか郵便局に携帯電話の楽天モバイルのショップカウンターを設けたり、JR東日本の無人駅で郵便局と駅の窓口業務の一体運営を始めるなど、サービスの多角化で郵便局網の維持を図っている。

ただ、今回のコンビニ出店の提携で郵便側が受け取るのは賃料のみで、収益への貢献は限定的だ。

同日は茨城県内の郵便局でファミマの商品を取り扱うことも発表した。(産経新聞)