大手コンビニエンスストア各社が、フランチャイズチェーン(FC)加盟店の負担軽減に本腰を入れ始めた。人手不足が深刻化する中、24時間営業や収益悪化に対するFC店主の不満が高まっているためだ。各社は時短営業の実験や省力化対策を打ち出し、批判をかわそうと必死だ。

「加盟店にとっての2大コストは人件費と廃棄ロス。これらをいかに最小化していくかが課題だ」。ローソンの竹増貞信社長は11日、東京都内で開いた決算発表記者会見で加盟店支援を強調した。

コンビニ各社がFC店主と結ぶ契約では、店主は店舗の売上高から商品原価を差し引いた粗利に応じてロイヤルティー(加盟店料)を本部に支払う。店舗従業員の人件費や、売れ残り商品の廃棄費用は加盟店の負担。店主の中にはロイヤルティーの算定方法見直しを求める声もあるが、検討は進んでいない。人手不足で人件費が高騰する中、加盟店の負担ばかりが増える構図が店主の不満につながっていた。

ローソンは人手不足対策として、客が自分で会計するセルフレジを9月末までに全店に設置する。セブン―イレブン・ジャパンも年内の全店導入を決定。ミニストップも11日、来年2月末までの全店導入を発表した。

また、売れ残り商品の廃棄費用を減らす取り組みも本格化。ファミマはおせち料理やクリスマスケーキを完全予約制にし、恵方巻きなどの事前予約にも力を入れる。ローソンは、消費期限の近いからあげなどの食品の値引き販売を推奨する。

時短営業に向けた動きも本格化している。セブンは3月から直営店とFC店で実証実験を開始。ファミマも2017年から直営店数店で行っていた実証実験を6月から最大約270店に拡大し、配送網が同じ地域で物流や収益への影響を調べる。ローソンとミニストップは一部店舗で時短営業を認めた。

一方、11日に出そろったコンビニ各社の19年2月期連結決算は、セブン&アイ・ホールディングス(HD)の最終(当期)利益が前期比12・1%増の2030億円、ユニー・ファミリーマートHDが34・8%増の453億円、ローソンは4・6%減の255億円。ミニストップは9億円の赤字(前期も9億円の赤字)だった。(毎日新聞)