伊藤忠商事は19日、約1200億円を投じユニー・ファミリーマートホールディングスへの出資比率を41.45%から50.1%に引き上げて子会社化すると発表した。ネット企業による小売り参入など競争環境が激化する中、資本関係を強めることで収益力の強化や新規事業の創出に取り組む。

19日の株価終値を11%上回る1株当り1万1000円で公開買い付け(TOB)を実施する。8月ごろの買い付け開始を目指す。TOB実施後もユニファミの上場は維持する。

小売業界では人口減少による市場規模の縮小や競争環境の激化、人手不足などにより厳しい経営環境が続いている。また、商社各社は資源価格の動向に収益が左右されにくい非資源事業の強化を進めており、2017年2月には三菱商事が1440億円を投じてTOBでローソンを子会社化している。

同日都内で会見した伊藤忠の鈴木喜久社長は米アマゾンの小売り参入などを例に挙げ「競争環境が様変わりしている」と指摘。「急激に変化する経営環境に遅れずに対応し、成長機会をしっかりと捉えるためには名実ともに親子である確固とした体制作りが大事だと判断した」と説明。一方、消費者との接点を持つユニファミは「伊藤忠にとっての重要性はかつてより格段に高まっている」と話した。

具体的な協業については、ビッグデータや人工知能(AI)などのデジタル技術の活用によって、店舗での生産性や効率を上げることを狙うほか、金融や電子商取引、金融と情報技術(IT)を組み合わせたフィンテックなどの新規事業を創出する。海外では中国やアジア地域において共同での事業展開を加速する考え。

ユニファミは同日、伊藤忠のTOBに対して賛同する方針を表明した。ユニファミの18日の株価終値は1万20円と、上場来最高値を付けていた。