伊藤忠商事が、コンビニエンスストア大手のファミリーマートを完全子会社化する方針を固めたことが8日、分かった。ファミマ株の50・1%をグループで保有しているが、株式公開買い付け(TOB)を実施し、保有比率を100%に引き上げる。買収総額は5千億円超となるもよう。

コンビニ業界は日本国内の店舗数が頭打ちとなり、他店やドラッグストアなどとの競合が厳しくなっている。完全子会社化により、伊藤忠が持つ海外の調達網の活用を深めるなどして、経営基盤のテコ入れを図る。

総合商社は、新型コロナウイルス感染拡大により、資源、金属、機械といった伝統的な事業で苦戦を強いられている。コンビニといった生活に密着する事業分野は、安定的に成長すると判断したとみられる。

また、伊藤忠はファミマに20年以上投資しており、コンビニ事業への知見もあることから、投資リスクは少ないとの考えも背景にありそうだ。

伊藤忠は、繊維や住生活、金融・情報事業などを強化中だ。ここにファミマのもつ消費者の購入動向や嗜好といった各種データを活用することで、総合商社としての強みを発揮していこうという戦略がありそうだ。(産経新聞)