ローソンが玉塚元一会長の退任を決め、三菱商事出身の竹増貞信社長に権限を集中するのは、原料調達などで三菱商事との連携を一段と強化する狙いからだ。

また、12日には提携関係にあるスリーエフとの共同店舗を拡大することも発表。平成34年2月末までに国内店舗数を1万8千店(2月末は1万3111店)に増やす計画も明らかにするなど、新経営体制で国内首位のセブン-イレブン・ジャパンに対抗する。(大柳聡庸)

「(竹増社長と)“2頭体制”が最も良くない」

玉塚氏は自ら退任を申し出た理由をこう説明した。ただ、玉塚氏の外堀を埋めたのは三菱商事だ。資源価格の低迷により、三菱商事は28年3月期決算で創業以来初の最終赤字に転落し、非資源部門の強化を急いでいる。目を付けたのが、成長著しいコンビニ事業だ。

昨年6月、筆頭株主の三菱商事は竹増氏を社長に送り込み、2月には株式公開買い付け(TOB)でローソンを子会社化。当初は玉塚氏が最高経営責任者(CEO)、竹増氏が最高執行責任者(COO)として役割分担したが、3月にCEOとCOOを廃止し竹増氏の権限が強まった。

玉塚氏は人当たりの柔らかさなどが三菱商事内でも評価されている。一方で「もっと日販(1店1日あたりの売上高)を上げてほしい」(幹部)など経営手腕への不満も少なくない。29年2月期のローソンの日販は、前期比横ばいの54万円にとどまり、65万7千円のセブン-イレブンとの差は開いた。

竹増社長は三菱商事との連携強化について「一緒に品質の高い原材料を調達し、商品開発につなげる」と強調する。商品力向上などで、34年2月期に日販を60万円に引き上げる計画だ。スリーエフが首都圏に展開する281店舗を共同店舗に転換するなど、規模の拡大も図る。

ただ、セブン-イレブンは複数の商社を競わせ、調達や商品開発力を高めてきた。スーパーや金融機関など三菱グループの経営資源をいかに取り込むかが、ローソンの成長を左右する。(産経新聞)