コンビニエンスストア大手ファミリーマートは14日、加盟店希望に基づいた夜間帯閉店による時短営業を令和2年3月から実施すると発表した。同日開催の取締役会で、時短営業を含めたフランチャイズ(FC)加盟店への支援策を決議した。コンビニ運営の根幹である「原則24時間営業」の一律運営の限界を認めた形で、人手不足問題などにより本部のスリム化を含め、新たなビジネスモデル構築に踏み出す。

沢田貴司社長は14日、東京都内で開いた記者会見で、コンビニがこれまで歩んできた大量出店による成長に対して限界を指摘した上で、時短容認路線へのかじ取りに関し「24時間ビジネスモデルは非常に優れている。一方で、人手不足や最低賃金上昇などコスト構造も変わり、苦労している加盟店もある。加盟店ファーストでの判断だ」と述べた。

ファミマは加盟店側の希望に基づく時短営業を認め、新たなFC契約に改定する。加盟店は毎日午後11時~午前7時までの最大8時間か、週1回(日曜夜~月曜朝)のいずれかを選択。12月まで続く時短営業実験の結果をもとに、来年1月以降にガイドラインを策定する。

さらに、加盟店の収益安定に向け、24時間営業の加盟店に支払う「24時間営業分担金」を月額10万円から12万円に引き上げ、週1回の時短の場合は日割り支給する。このほか、廃棄ロス削減対策や複数店経営などへの奨励金の増額も決めた。本部の負担額は年間約100億円となる見込みで、加盟店1店当たりは70万円程度になるという。

一方、本部の構造改革にも着手。現場での対応力を強化するため、各地域にエリア本部を設置し、権限委譲を進める。来年2月までに全社員の約1割に相当する約800人の希望退職を実施する。

ファミマは今年6月から加盟店参加の時短営業実験を開始し、現在は600店超が取り組む。一方、6月に実施した加盟店アンケートで、回答した約1万5000店の約半数に当たる約7000店が時短営業を「検討したい」と回答。沢田氏は、実験結果を踏まえ、12月以降に方向性を検討するとしてきたが、「環境変化が起きている。一刻も早く加盟店支援を実行しないといけないと判断した」と強調した。

ファミマ以外では、セブン-イレブン・ジャパンが11月から加盟店全店に深夜休業ガイドラインを配布。時短営業を希望する加盟店のうち時短実験中の店舗が287店(10月末)あり、11月1日から8店が実験を経て時短営業へ移行した。ローソンは加盟店希望の時短営業を認めており、11月1日現在で118店が実施しているほか、定休日を決めた店舗が4店あるとしている。(産経新聞)