コンビニ大手のセブン―イレブン・ジャパンが、元店主に建物引き渡しなどを求めて提訴している大阪府東大阪市の店舗をめぐり、駐車場に仮設店舗を計画していることが26日、分かった。元店主はフランチャイズ・チェーン(FC)契約を解除され、店主としての地位確認などを要求して争っており、「違法な実力行使だ」と反発している。

 店舗は「セブン―イレブン東大阪南上小阪店」。元店主の松本実敏さん(59)が2019年2月に深夜休業を始めたことをきっかけに本部と対立し、本部は同年末に客からの苦情の多さなどを理由にFC契約を解除。松本さん側は契約解除の無効などを、本部側は建物の引き渡しなどを求めてそれぞれ大阪地裁に損害賠償訴訟を起こした。

 訴訟で争われている店舗は休業状態だが、本部は駐車場の土地を分割して仮設店舗を建てようと計画。仮囲いをして工事の準備を始めた。現在も松本さん側に任意での店舗引き渡しを求めているが、応じない場合は早ければ4月1日にも着工し、同月末に営業を始める方針。仮設店舗は訴訟の判決が確定した後に解体するが、本部側が勝訴した場合、約3千万円の建設費は松本さん側に負担を求めるという。

 この計画は26日に大阪地裁であった口頭弁論で、松本さん側の弁護団が明らかにした。弁護士は「裁判の係争中にもかかわらず、引き渡しに応じないからと店を建てるのは違法な実力行使ではないか」と抗議。一方、本部側は「『買い物や防犯のために営業を再開してほしい』と地元住民から要望がきている」などと反論した。ただ、仮設店舗の建設は訴訟の中身とは直接関係がないため、今後は地裁を交えて非公開の場で協議することが決まった。

 松本さん側と本部側はそれぞれ、大阪地裁に仮処分も申請していたが、昨年9月の決定でいずれも却下。決定では、松本さんの顧客対応やツイートによる本部批判は契約の解除事由に当たるとして松本さんの主張を退けた一方、店舗を傷つけるといった行為がないことなどから、すぐに建物を明け渡す必要性はないとした。(朝日新聞)

■■セブン―イレブン東大阪南上小阪店をめぐる動き

2019年

 2月1日 店が午前1~6時の休業を開始、本部と対立

 12月20日 セブン本部が松本さんに対し、フランチャイズ・チェーン(FC)契約解除を通告

 12月31日 FC契約解除、店舗への商品配送が止まる

20年

 1月6日 松本さんが店主としての地位確認などを求め大阪地裁に仮処分申請

   8日 セブン本部が店舗の明け渡しを求め同地裁に仮処分申請

   9日 商品がなくなり、店舗が臨時休業

   17日 セブン本部が店舗の明け渡しや損害賠償を求め同地裁に提訴

 2月12日 松本さんが地位確認や損害賠償を求め同地裁に提訴

 8月14日 同地裁で訴訟の第1回口頭弁論

 9月23日 大阪地裁が双方の仮処分申請を却下