日本フランチャイズチェーン協会が20日発表した3月の主要コンビニエンスストア7社の売上高(既存店ベース)は前年同月比5・8%減となった。マイナスは3カ月ぶりで、たばこ税増税のあった平成22年10月(5・9%減)以来の下落幅となった。平均客単価は上昇した一方、新型コロナウイルス感染拡大に伴う外出自粛要請で、来店客数が現在の統計方法となった17年以来で最大の下落幅に転じたことが響いた。

平均客単価は2・5%増で6カ月連続のプラス。自宅での食事向けのパウチ包装の総菜などが好調だったほか、冷凍食品やレトルト食品などのまとめ買い需要も増えた。近くに食品スーパーが少ない住宅地でこうした傾向が強く、来店客数が増加している地域もあるという。

ローソンの竹増貞信社長は令和2年2月期決算の記者会見で「加盟店を守り切ることが、最も大事だ」とし、ニーズが高まった生活必需品の拡充を進めていると話した。

一方、住宅地を含む全体の来店客数は8・2%減。外出自粛による来店頻度の減少や、入居する施設閉鎖で休業を余儀なくされ、大手3社ではセブン-イレブン・ジャパンが229店、ファミリーマートが193店、ローソンは230店が営業を見合わせているという。

加盟店の事業継続に向け、各社は客と店員の飛(ひ)沫(まつ)感染を防ぐため、レジカウンターにビニール製などの間仕切り設置を支援するなど、接客対応の際の従業員の安全確保に工夫をこらす。それでも急激な売り上げ減や従業員の確保に悩み、営業時間を短縮する加盟店も増えている。関係者は「環境が激変しており、加盟店オーナーの判断は理解できる」と話す。

企業による在宅勤務の拡大などで自宅で過ごす消費者が増え、需要は様変わりしつつある。3年2月期業績予想の公表を見送ったセブン&アイ・ホールディングスの井阪隆一社長は会見で、カフェチェーン店が休業した影響で、コンビニのレジ横カウンターに設置したコーヒー販売が伸長した事例を挙げ、「需要は日々刻々と変化している」と先読みの難しさを語った。(産経新聞)