日本フランチャイズチェーン協会が20日発表した2020年の全国コンビニエンスストアの売上高(速報値)は、新規出店を含む全店ベースで前年比4・5%減の10兆6608億円だった。

 比較可能な05年以降、全店ベースの売上高が前年を下回るのは初めてだ。

 新規出店が頭打ちになっていることに加え、新型コロナウイルスの感染拡大で人出が減ったオフィス街や観光地の店舗を中心に売り上げが落ち込んだ。

 在宅勤務の浸透で自宅で過ごす時間が長くなり、まとめ買いが増えるなどしたため、1回の買い物でいくら支払ったかを示す平均客単価は6・4%高い670円に増えた。だが、全体の来店客数は10・2%減っており、売り上げ減少につながった。

 コンビニ各社は対応を急いでいる。セブン―イレブン・ジャパンは冷凍食品や酒類など需要が増えた商品の売り場を拡大している。ローソンは宅配サービスに対応する店舗を増やし、ファミリーマートは自宅で調理しやすくしたカット野菜などを強化する。

 一方、20年末の店舗数は5万5924店で、前年末比0・6%増と微増だった。新型コロナの収束が見通せないなか、オフィス街の店舗では、客が自分で精算する「セルフレジ」の設置を増やすなど、少人数でも営業できる店舗が増えそうだ。

 SBI証券の田中俊氏は「コロナ禍で変化した消費は簡単には元に戻らない。各社とも戦略の見直しが欠かせない」と話している。

 売上高などは、協会がセブン―イレブン・ジャパンやファミリーマート、ローソンなど大手コンビニ7社を対象に集計した。(読売新聞)