コンビニ最大手「セブン-イレブン・ジャパン」本部が、24時間営業を打ち切った大阪府東大阪市の加盟店元オーナーとのフランチャイズ(FC)契約を解除したことの有効性を争った訴訟は23日、本部側との取引再開を望んだ元オーナー側の訴えを全面的に退け、元オーナー側に店の引き渡しと賠償を命じた。額は1億円を超えるとみられる。

「逆にすがすがしい」

判決後、大阪市内で会見した元オーナーの松本実敏(みとし)さん(60)はあきれた表情でそう話し、「セブン側に配慮した忖度(そんたく)判決だ」と怒りをあらわにした。

がんと闘病しながら店に立ち続けた妻を亡くし、人手不足を理由に24時間営業を取りやめたのは3年前の平成31年2月。令和元年12月に契約を解除されたが、店を占有し、取引再開を求め続けた。

判決は、契約解除に至った原因は松本さん側の乱暴な接客対応にあると認定。時短営業との因果関係はないと判断したが、松本さんは「声を上げたことで時短営業に対する考えが少しずつ変わってきた」と話す。

ただ裁判の全面勝訴を背景に本部側がFC店側への締め付けを強化するとみている。24時間営業の取りやめを本部側に相談したあるFC店のオーナーが、関係者から「このまま松本と付き合っていたら一緒に契約解除になるよ」と脅されたこともあるという。

弁護団の一人は、判決でコンビニの24時間営業に対する言及がなかったことを問題視。「オーナーがどんなに過酷な労働条件に置かれているかということに目を向けなかった判決。控訴審でひっくり返さないといけない」と語気を強めた。(産経新聞)