セブン&アイ、クシュタール提案の買収価格は「不十分」と伝達へ…米国事業など過小評価と判断

 セブン&アイ・ホールディングスが、買収提案を受けたカナダのコンビニエンスストア大手アリマンタシォン・クシュタールに対し、「買収価格が不十分」と伝えることが5日、わかった。クシュタールの提案は、セブン&アイの企業価値を正当に評価していないとしている。協議は今後も続ける方針だ。

 複数の関係者が明らかにした。クシュタールの提案は、セブン&アイの事業全てを買収するとしており、有利子負債などを含めた企業価値を8兆~9兆円程度と試算しているという。

 セブン&アイの取締役会は、特に米国事業が過小評価され、企業価値の算定が低すぎると判断している。また、現在の提案では、米国の独占禁止法に抵触する恐れがあると懸念している。6日にもクシュタールへの通知内容を公表する予定だ。

 セブン&アイは8月19日、クシュタールから買収提案を受けたと明らかにした。社外取締役による特別委員会を設置し、買収の是非について議論していた。クシュタールは、北米や欧州など約30か国・地域でコンビニ「サークルK」など約1万6700店を展開する。

 セブン&アイは米国で約1万3000店を展開し、首位となっている。クシュタールによる買収提案は米国での店舗網の拡大を狙ったものとみられ、セブン&アイに米国事業の切り離しを要求したり、同意なき買収に踏み切ったりする可能性もある。(読売新聞)